愛犬を老犬介護施設にお願いするようになり、今は平和な日々を取り戻しています。
だけど、ここにくるまでは夫とは介護に対する感覚の違いや、老犬ホームに対する考え方の相違で毎日喧嘩をしていました。
ときに離婚まで考えた日々を振り返ってみました。
「犬のお世話はほぼワンオペの我が家(笑)」
我が家は私と夫、15年前からワンコが加わって3人家族でした。
犬を飼いたいと決めたのは2人ほぼ同時
夫の実家では常に犬が居たため、犬がいるのは夫にとってごく普通の環境です。
それに対して私は、父が転勤族だったのと母が大の動物嫌い^^;
せいぜい小鳥くらいしか飼ったことがありません。
夫は飼い慣れているとはいえ、飼育は親任せだったし、仕事もあるので
犬を飼うにあたって自宅仕事に切り替えていた、私が中心になることはごく自然のなりゆきです。
平日は私が全て愛犬のお世話(お散歩、食事、遊び)
週末は夫が散歩(遊び、ときどきシャンプー)
食事は私が手作りしていたので、夫があげるのは私が外出しているときだけです。
まぁ、ほぼワンオペですわねー。
しかし夫が可愛がっていなかったわけでは無く、もしかしたら私以上に愛犬のことを可愛がっていたかもしれません。
愛犬はどちらにも上手に甘えていました^^
夫の性格
おおらか、几帳面、細かいことを気にしない、頑固
私の性格
神経質、おおざっぱ、小心者で周囲の目を気にする、優柔不断
「犬が認知症になってからはお世話を分担」
基本は平日が私、週末は夫が散歩に行ってくれるという生活スタイルを14年続けていた我が家
しかし、元気だった愛犬が14歳になった時に認知症になり生活は一変します。
夜の徘徊といちばん恐れていた夜泣きが始まりました。
愛犬が夜泣きをすると飼い主である私たちは眠れません。
そして眠れないことで、私は神経がピリピリし始め、夜泣きが本格化した時は体重が1ヶ月で3キロ落ちました。
もともとは3人で仲良くベッドで眠っていたのですが、14歳になってすぐの頃から方向感覚が怪しくなり
ベッドから落っこちるようになりました。
夜泣きが始まってから、夜泣きを止めるのにどうしたら良いのかを調べていたら
一緒に寝てあげるのも精神安定につながると知り
夜は私がリビングのソファの上で眠るようにしました。
愛犬はリビングの床に置いたベッドで寝ます。
これで多少落ち着いていた時期もあり毎日一緒にリビングで寝て居たのですが
次第に私の腰痛がひどくなりました^^;
やはりソファは眠るようには作られていないのですね(笑)
そうこうしている間も、愛犬の夜泣きは強くなったり落ち着いたり。
夜泣きが無い間は平和ですが、数日〜最大1週間ほどで夜泣きは復活します。
眠れないのは本当にツラいものです。
夫に対してもイライラをぶつけ、まいにち喧嘩です。
そこで夫はできるだけ早く帰ってきて、夜は夫が愛犬とリビングに布団を敷いて眠るようにしてくれました。
仕事が残っていて残業をしたいときは、リビングに敷いた布団の上に仮設のデスクを作って
そこで深夜まで仕事です。
私は夫が帰ってきて食事を終えると、寝室のドアを閉めて眠るようにしました。
愛犬チビは徘徊をしながら、ずっと起きていることもあったので、ドアを閉めて私は睡眠をできるだけ取るようにしました。
徘徊の末にこんなところで良く寝てました^^;
これで多少ですが、遮断された感覚になり夜泣きが無いときは深く眠れるように。
また愛犬は、朝もめちゃくちゃ早起きさん^^
認知症になった彼は早い時には2時くらいからウロウロしています。
私は早起きが苦にならないタイプの超朝型なので、チビが起きている気配を感じたらリビングでチビの相手をしたり、夫と寝室を交代したりしました。
約1年間、夫はリビングで仕事をし眠って過ごし
愛犬が老犬ホームに入った今も、リビングでそのまま眠っています。
「男性と女性はストレスの感じ方がちがう?」
愛犬が認知症になり夜泣きと徘徊がひどい時の私はほぼうつ状態
眠れないことと、いつ吠え出すかという不安、音に対しても異常なまでに過敏になりました。
夫はどうだったのか?
しかし、私がほとんどノイローゼに近い状態になっても夫はそれほどストレスに感じていないのです。
夜泣きをしていても怒ったりすることなく、「良い子だね〜」とトンチンカンに優しくなだめています(笑)
(対する私は「うるさいっ!」とよく怒鳴ってしまいました^^;)
夫は仕事も忙しかったのに、睡眠時間が短かかったのにそれほどストレスに感じずに居ます。
羨ましい限りですが、その時は私の大変さを理解してくれない夫に対して怒りもかなりありました。
のちに老犬ホームでお世話になるようになり、施設の方にこう教えていただきました。
「たいていの場合奥さんが一番ストレスを感じ旦那さんはあまりストレスを感じていない」
また
「女性はご近所さんへの迷惑もとても心配されるので、ストレスがさらに強いようです」
とも教えていただきましたが、これはまさに我が家もそうでした!
私が神経質すぎで、ご近所までそれほど聞こえてないだろうというのが夫の見解です。
男性はあまり、ご近所への迷惑とか考えないのかもしれませんが、女性はご近所に迷惑とかかけるのって
すごーく嫌ですよね^^:
「老犬ホームへ預けることは夫から猛反対を受ける」
老犬介護のことを調べている中で、老犬ホームのことを知り
「ここに短期で良いから預けたい」と夫に提案しました。
素晴らしい救済策に巡出会ったと興奮気味に・・・。
ところが夫は猛反対
私は、このままじゃ辛くて心も体も持たない、短期でも良いから預けてみたいと説得するも
夫はウンとは言いません。
私としては「愛犬を殺処分にするわけじゃないし、ちょっと離れて暮らすだけ。面会にだって行けるんだから」
短期でも犬と距離を置くことで体と心をリフレッシュできるはず
ところが、夫は「預けたらもう面会なんて行かない。辛すぎる」の一点張り
老犬ホームに預けるのは、もう2度と会わないと覚悟したときだとまで言います。
私としては
何故?納得が行きません
というのも、ちょうどその頃夫の両親が、どちらかが他界した際には老人介護施設に入るつもりなので、
その前に相続の手続きを少しずつして行きたいと言いだしていたのです。
夫の両親もそうですが、私の母(父はすでに他界)も子供に面倒を看てもらう気はさらさらなく、介護施設に入ってプロに任せたいという考えの持ち主です。
義実家の考え方に夫はもちろん賛成しています。
でもワンコを預けることは絶対にできないと言い張るのです。
なんでーーー?!! と詰め寄ると
「両親は可愛くないけど、チビは可愛いから」
とのことです(笑)
確かにチビは可愛いです。
ずっとずっと私たちの幸せはチビを中心に築かれたものです。
でも、夜泣きをするチビは私にとって脅威になりつつありました。。。
日中おとなしくしていたチビが、夜になると次第に呼吸が荒くなり
ワンワンというかギャンギャン吠える様子は
ホラー映画のようです。
しかも認知症は現在は、治る病気ではありません。
少しずつ進行していくのです。
少し落ち着いていた夢のような時間の後には、ひどい夜泣きが再開されました。
いったいいつまでこの繰り返しが続くのか・・・絶望的になります
介護の終わりは見えないのです。
可愛いから
だけじゃ片付けられない問題がそこにいつもある状態
薄氷を踏んで歩いているような日々でした。
「夫の口から老犬ホームへ預けようという言葉が出た」
昨年の冬のことです。
この頃はまだ私はストレスがあるとはいえ、心療内科にも行っていなかったころで、ただひたすらイライラと不安を我慢している状態です。
そんなある日、チビの夜泣きがひどくなりました。
もうダメだー。 チビに対して怒鳴ってしまうのです。。。
怒鳴ったって何も変わらないのに。
怒鳴ったあとは自己嫌悪になるだけなのに。
そんな日が続き、とうとう夫が朝言いました
「昨日老犬ホームに連絡をして、連れて行く日が決まったよ」と
老犬ホームに夫は反対していたけど、少し前に出かけた際にアポは取らずに近くから見学をしていたのです。
そこは老犬ホームとは思えない広大な敷地で、楽しそうにワンコたちが遊んでいて私たちに気づくとすぐに近寄ってくる子もいました。
そこに連絡をして明後日には送り届けると。
「これが一番良いんだよきっと」小さく夫が言いました
やっとホッとできる
そう思った私ですが、その日からチビを失う怖さともっと何かができるのでは無いかという思いが溢れてきました。
当日の朝になって荷物をまとめても、その想いは消えません。
しかしうちの夫は頑固なところもあり、一度こうと決めたら貫きたがる性格です。
ところが夫も今のままじゃまだ不十分だと思ったのでしょう。
「チビもう少し家で飼ってみようか」と言ってくれました。
しかし今年の夏の事、しばらく落ち着いていたのに
真夏になって暑さが激しくなるのに従って、これまで以上に夜泣きの声と長さがひどくなりだしました。
それまで効くこともあった漢方やサプリのどれも効きません。
ついに禁断の安定剤を使ってみると
チビは翌日の10時くらいまで仮死状態になってしまいました・・・。
もう無理かもとガックリきていたら
とうとう夫が「チビちゃんをホームに預けよう」と言いました。
夫は出張があっても、日帰りで自宅でチビの世話をしていました。
お客様との付き合いも断って、早く帰宅して深夜までチビに付き合っていました。
夜泣きは10時とかから数時間、徘徊は朝の2時くらいです。
さすがに夫も体力的に辛くなったのかもしれません。
それとも夫の中で、やりきったと感じたのか。
(弱音を吐かないタイプなのでよくわからないのですが)
「老犬の介護で離婚をなんども考えた」
夫と私は結婚して20数年、その間喧嘩もしょっちゅうでしたが
離婚したいと思ったことはこれまで一度もありませんでした。
でも、チビの夜泣きで毎日がウツ状態かパニック状態になっていた私と
のんびり意に介さない夫の間では喧嘩が絶えず
私の辛さを理解してくれない夫には、怒りと絶望感しかなく
離婚したいとさえ思うこともありました。
自分の一番の理解者だと思っていた夫が、ツラさを理解してくれない
そのことが私の絶望感でした。
認知症という病気が憎い。治せない医学に腹が立つ。
私の辛さをわかってくれない夫が憎い。
離婚して家を出たら夫もこの大変さを理解してくれるに違いない
もう思考は、めちゃくちゃです(笑)
一番大変なのは年取って体の自由が効かなくなってしまったチビなのに
私は自分のことばかり
夫への恨みばかり・・・
チビが元気だったころはあんなに毎日が楽しかったのに。
いつもチビを中心にして笑いが絶えなかったのに。
このまま毎日イライラしながら、夫と喧嘩ばかりしながら家で介護することがとても良いこととは思えませんでした。
預けてからは、ペットロスにも苦しめられましたが
この選択をして良かったという気持ちは変わりありません。
老犬介護と人間の介護はとても似ているけど、人間の介護と違うのは周囲の理解を得難いこと
これが一番だと思います。
そして人間の場合と違って他人やプロにおねがいできるシステムや受け皿がまだまだ少ないです。
頑張ったけどもう無理
と思ったら、プロの手を借りることも大切なことだと思います。
犬は人の心がわかる生き物で、飼い主がイライラしているとそれが伝わってしまうそうですよね。
きっと家にいた頃のチビは、私のイライラが怖かったと思います^^;
あやうく夫婦の危機も乗り越えて、
現在夫とは以前のように普通に仲良く過ごしています。
2人でチビの話も毎日なんどもするし、同じ犬種柴犬を見ては相好を崩す(笑)
夫も仕事に打ち込むことができ、私も毎日元気に過ごしています。
最後に
それまで猛反対だった夫が預けることに同意したのは
やりきった感もあれば、限界も感じた
そして何より、見学に行ったときに施設のイメージが変わったことも原因かなぁと思いました。
老犬ホームというのはあまり耳慣れないものですし、見た事もないため
もっと閉鎖病棟的なものをイメージしていた様子の夫
「ここなら」と思ったようです。
愛犬を施設に預けるとき、家族の中に反対をする人が居たらなかなか踏み込めないものです。
そんなときは、ぜひ施設の様子をHP等で見てもらったり実際に見学に行くのも良いかと思います。
そこには、愛犬を大切にケアしてくださるプロの方がいらっしゃって、きっとこれまでとイメージが変わることと思います。