夫の実家には、タローというミックス犬がおりました。
穏やかで賢くて強くて、みんなの人気者だったタローちゃんのことをふと思い出してみました。
タローちゃんはちょっと困り顔でした^^
タローのおだやかな日々
タローは義母の実家で外飼いされていたワンコから生まれたワンコです。
義母の実家は、のどかな山間にありそこで番犬として飼われていたワンコがいました。
妊娠に気づく間も無く、いつの間にか産まれていたのがタローちゃんです。
目の見えない義祖母が義母のところに電話をかけてきて
「なんか犬が産まれているみたいだから来てくれ」
といわれ行ってみたら、小さいのが数匹産まれていたそうです。
その中で一番可愛いのを義母が飼うことになりました。
タローは外飼いのワンコで、番犬としても優秀でした。
義実家は戸建てで、家の周りがグルリと走り回れるようになっています。
タローは日中は、犬小屋の前に繋がれ
夜は家の前の駐車場に柵を下ろし、外に出ないようしてもらって
毎日夜は好きなように家の周りを走り回りつつ、パトロールをして過ごします。
以前駐車場前に柵がないころ、酔っ払いが入ってきたり
座り込んでしまうこともあったのですが
その度に、タローが吠えてお知らせをしてくれたり、そのまま追い払ってもくれていました。
義両親が車でお出かけをするとき、若い頃はタローもずっと一緒です。
助手席の母の足元に静かに座っているのです。
預けられることもなく平和な日々を送っていましたが、私と夫が結婚するとき
義両親が私たちのところに来てくれることになりました。
そこで、タローちゃんはペットホテルに預けられることになりました。
タローちゃん、なんと2泊の間まったく食事をしなかったのです・・・。
ペットホテルにお迎えに行くと、ゲッソリと痩せて毛がパサパサになったタローが
尻尾を振って喜んでいたそうです。
このことを聞いて、なんて可哀想なことをしちゃったんだろう・・・と思いました。
寿命が短くなってしまったんじゃないかとそれからしばらくドキドキしました^^;
挨拶のできる犬タロー
タローはとにかく穏やかで、賢い子でした。
不審者が家に近づくと、ワンワンと追い払ってくれるし
義母がまいにち丁寧におしえて
朝オハヨーと声をかけると
タローは「オハヨ〜」とお返事をしてくれるのです!!
ときどき、オハヨーなのかアオーンなのか分かりにくいときもあるのですが(笑)
義母が「タローちゃん今のは下手だったねぇ、もう一回やるよ〜」
とダメ出し(笑)
しつけは優しくも厳しいのです。
マテも完璧でした
うちのチビも食事の前はマテをさせていただけど、かなりアヤシゲで
フライングの嵐です(笑)
で、まぁそれでも良いかと、甘く接していたのですが
タローちゃんのマテはハンパじゃない!
義母が食事前にマテをさせるとずっと待っているんです。
マテをさせているうちに、義母が用を思い出して家の中に入っちゃったりしたあとでも
ヨダレをダラダラ垂らしながらずっとずっと待っているのです。
母がうっかり「ヨシ」をするのを忘れて出かけて帰ってくると
タローがフードの前で悲しい顔をして待っていたことも(笑)
ご飯は、猫まんま的なものにさらにお肉などをトッピングしてグツグツ煮込んだ
義母の愛情たっぷりの食事
老犬になってからは、ドッグフードでした
後輩ワンコにも優しいタロー
タローはずっと義実家のアイドルで、みんなに可愛がられていました。
そんなある日、我が家でも犬を飼い始め、義実家に連れていきました。
まだ一歳にもならない幼犬に、義実家ではもう大騒ぎです。
みんながチビに注目が行きます。
しかも、タローちゃんは外飼いなのにチビは室内飼いです。
タローの心中は複雑ではないのかなぁ・・・と心配したのですが
これが意外なことに、タローはチビに対して超優しいのです(泣)
この頃チビはまだ他の子と接したことがほとんどありません。
タローが教育的指導をするのをちょっと期待したりなんかしていたのですが
まぁ、タローの優しいこと優しいこと(笑)
家の周囲を回遊できるため、チビがおっかなびっくり家の周りを走ります
そうしたらタローは反対側から回遊して、途中でバッタリと顔を合わすようにして遊ぶのです。
顔が合った瞬間になぜか「ワン」と小さく吠えるのがルールらしく
気づいたら顔をあわせるたびにワンと吠えるタローにならってチビも
ちいさく「ワン」と吠えていました。
ただし美味しいものには厳しい
この頃タローは10歳過ぎていて、歯が悪くなっていたため
以前のような手作りご飯では無く、フードを食べていました。
たっぷりとフードボウルに入れられたドッグフード
気づいたら、我が家の食欲のカタマリのちびがバクバク盗み食いをしてましたーーーー^^;
コラーーー!!ダメだよーーー。慌ててフードを取り上げました。
なのに、タローちゃん一切怒らずに静かに見守っているんです。
なんて良い子なの(泣)
ところが!
義実家ではみんなが集まると、決まって外でバーベキューをします。
これがみんなの楽しみでもあったのですが
そこに愛犬2匹ももちろん参加
ちょこちょこ肉をもらったりなんかしていたのですが
タローちゃん、焼いたお肉に関してはチビに譲らなかったのです(笑)
チビが近づこうをしようものなら
「ウォン」と厳しめの声で叱ります。
そうすると、チビはもう近づけない(笑)
それでこそワンコだ、タローだ!
なんともカッコ良いお兄さん犬でした。
片付けをしているときに放置されて居た焼き網に近づくことも許されませんでした。
美味しい良い匂いがしているもんねー。
タローちゃんは最期までカッコ良かった
タローちゃんも年齢を重ね、歯が悪くなってきました。
下の歯が全部沿っているんです。
そして耳が聞こえなくなってきました。
目も真っ黒だった黒目が薄い青のようになり、以前より見えていない様子。
最晩年は、前足がピョコピョコになっていました。
でも毎日元気に家の周りを歩いています。
その日は、静かにやってきて
前の日から食事をしなかったタローちゃんは、翌朝
義両親が見守るなか、静かに眠りました。
義父母に世話をかけることなく、静かに逝ったのが
いかにもタローらしいのです。
タローちゃん、19歳11ヶ月まで生きました。
もうちょっとで20歳だったのに・・・といつも気丈な義母が泣きました。
私も泣きました。
タローちゃんは、義父が作った棺に入って旅立ちました。
そして、義実家の菩提寺でペットの合同墓で静かに眠っています。
菩提寺のお坊さんは、大の犬好きでご自分の愛犬が亡くなったときに建立したお墓に
檀家さんのペットが亡くなったとき一緒に入れてくれるようになったのです。
ここに入っているペットたちは、全員のマグカップが置いてあって
それに新しいお水を汲んであげるのがお約束です。
次第にこの合同墓はご近所でも話題になり、違う宗派の方も
「愛犬を入れたいのですが」とお骨を持ってくるので、お墓の前はマグカップだらけです。
お墓参りに行くと、ご先祖さまのお墓参りのあとは必ず全員でタローちゃんのお墓にお水をあげて手を合わせます。
最期に
タローが亡くなったとき、うちの愛犬はまだまだ若くて元気でした。
しかしあっという間に愛犬も年を取る。
16歳も見えてきました。
その時を、私はどんな風に迎えるのだろうか
老犬ホームに預けたとき以上にペットロスを味わうのだろうか
など、つらつら考えたりもします。